長引くカゼに効く漢方薬【柴胡桂枝湯】
こんにちは!今回は、長引くカゼに効く【柴胡桂枝湯】について解説したいと思います。
カゼ薬といって柴胡桂枝湯を思い浮かべる人はそう多くないと思います。それでも、葛根湯と同じく2000年近く前に作られたもので、漢方薬としてはとても重要な処方です。
1.生薬が多いと効き目がマイルド!?
漢方薬は普通、いくつかの生薬が組み合わさってできています。少ないものでは2種類、多いものだと十数種類にもなります。日本で売られている漢方薬は、大体5~7種類が平均だそうです。
実は、配合されている生薬の種類というものがとても重要なんです。一般的には、生薬の数が少ないほど効き目が強く、反対に多いほど効き目はマイルドになります。
例えば、芍薬甘草湯という漢方薬があります(小林製薬から「コムレケア」という商品が販売されていますが、実は芍薬甘草湯です)。この芍薬甘草湯といのは、こむらがえりや筋肉の痙攣に効果がある薬なのですが、非常に即効性がある薬として有名です。飲んでから数分で効果が出ると言われています。漢方薬は長期間飲まないと効果が出ない、と思われることも多いようですが、即効性のある薬もあるのです。
だって、足がつってるのに、数日かけて治そう、とか言ってられないですよね笑
近年では、マラソンランナーなどもレース前にこの芍薬甘草湯を飲む人が多いそうです。
この芍薬甘草湯に使われている生薬はというと、
・芍薬
・甘草
の2種類だけです。生薬の数が少ないと、一つ一つの効き目がシャープに表れるのです。
効き目がマイルドな「柴胡桂枝湯」
さて、改めて柴胡桂枝湯を見てみましょう。
柴胡桂枝湯の構成生薬
・柴胡(さいこ)
・黄芩(おうごん)
・桂皮(けいひ)
・大棗(たいそう)
・生姜(しょうきょう)
・人参(にんじん)
・半夏(はんげ)
・芍薬(しゃくやく)
・甘草(かんぞう)
9種類もの生薬が入っています。「桂枝湯」の5種類、葛根湯の7種類と比べても多いですよね。柴胡桂枝湯の効能・効果は「微熱・カゼの中期から後期」ですから、比較的軽いカゼに向いているということが分かります。
2.柴胡桂枝湯=「桂枝湯」+胃腸ケア+体力回復
ここでもう一度柴胡桂枝湯の中身を見てみましょう。桂皮・大棗・生姜はみな食べ物ですね。芍薬・甘草もよく使われる生薬です。これら5つの生薬、見覚えがないでしょうか?そうですこの5つで「桂枝湯」になるのでしたね。
つまり、柴胡桂枝湯には「桂枝湯」という別の漢方薬が入っているのです。葛根湯も同じでしたね!
桂枝湯以外に何がプラスされているのか?が重要なわけですが、柴胡・ 黄芩・人参・半夏の4つです。
柴胡と黄芩は胃腸の働きを助けます。「お腹にくるカゼ」に効くのはこのためですね。そして人参・半夏は体力の回復を助けます。「長引くカゼ」ですから体力がだいぶ削られているはず。そんな体に柴胡桂枝湯は体力の回復を促してくれるんですね。
さらに、よく見てみると、「コムレケア」の芍薬甘草湯がこっそり(?)紛れ込んでいます。カゼで肩こりやふしぶしの痛みが出ていたら、この芍薬甘草湯が効きそうですね。
3.「ひき始め、長引く」カゼにも使える柴胡桂枝湯
柴胡桂枝湯の特徴を説明しましたが、ここで代表的な漢方のカゼ薬である「桂枝湯」と「葛根湯」と比較してみましょう。
・桂枝湯:カゼのひき始めに。体力虚弱で汗の出ている人のからだを緩やかに温めて治す。
・葛根湯:カゼのひき始めに。体力があり、汗をかいていない人のからだを強く温めて治す。
・柴胡桂枝湯:カゼのひき始め、長引くカゼに。からだを緩やかに温め、胃腸のカゼにも効く。
何となく分かりましたか?
カゼにもいくつかのタイプがあり、また同じタイプのカゼでも時間の経過とともに症状が変わってきます。あなたのカゼに合わせて漢方を使い分けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
いかがだったでしょうか。葛根湯ほどメジャーではなくても、何となく長引くカゼや、カゼでお腹の調子が良くない、という時に役に立つ柴胡桂枝湯。一度試してみては!?
1.生薬数が多く効き目がマイルドな柴胡桂枝湯
2.カゼの症状に、胃腸ケアと滋養強壮効果もプラス!
3.ひき始めにも、長引くカゼにみ。カゼのタイプに合わせて使ってみて!
最後までお読み頂きありがとうございました。