カゼに効く漢方薬【桂枝湯】

こんにちは!今回はカゼに効く漢方薬【桂枝湯】を解説したいと思います。

カゼと言えば葛根湯!というほど、漢方薬としての知名度は抜群の葛根湯ですが(むしろ葛根湯しか知らない、という人も多いのでは)、漢方薬の風邪薬って実はたくさん種類があるんです。

葛根湯、桂枝湯、麻黄湯etc. ドラッグストアに行くとたくさん並んでいますが、よくわかりませんね。。。

西洋薬であれば、熱・のど・鼻といった症状別の風邪薬がたくさん出ているので選びやすい。でも実は、こちらの記事(参考:カゼを治す薬は無い!?【意外と知らないカゼの話】)でも解説したように、西洋薬はカゼを治すものではありません。

カゼを早く治したい時には漢方がおすすめ!漢方薬の使い方を知って、早く治しちゃいましょう!

1.漢方薬は調味料!?

今回解説する桂枝湯、知名度は葛根湯に劣るかもしれませんが、とても重要な薬です。それはなぜかと言うと、この桂枝湯という薬、他の漢方薬のベースとなっていることが多いんですね。

例えば、桂枝湯に「葛根」と「麻黄」を加えると葛根湯になります。また、桂枝湯に入っている「芍薬」という生薬を増量すると「桂枝加芍薬湯」という別の漢方薬になります。さらに、桂枝湯に「竜骨」と「牡蛎」という生薬を加えると「桂枝加竜骨牡蛎湯」という、これまた別の漢方薬になるのです。

このように、桂枝湯に何かを加えて別の漢方薬にしたものを「桂枝湯ベースの漢方」などと表現しますが、漢方薬には、こういった「ある一つの漢方薬をベースに別の漢方薬を調合する」といったものがよくあるのです。まるで調味料ですね笑

2.「汗をかくカゼ」の初期には桂枝湯

さて、桂枝湯の効能・効果を見てみると、次のように書いてあります。

●桂枝湯の効能・効果

 体力虚弱で、汗が出るものの次の症状;

 かぜの初期

「ツムラ漢方桂枝湯エキス顆粒 説明文書」より

「体力虚弱で」、「汗が出る」。これが桂枝湯を選ぶポイントです。

体力虚弱とは?

漢方薬の説明文書には、よくこの文言が出てきます。

「体力虚弱で」「比較的体力があり」「体力中等度で」

これは一体どういう意味なのでしょうか?

漢方の理論で病気を診断する際に、「虚実」という考え方があります。これは、現代医学的に言うと、病気に対する抵抗力や症状の強さなどを指しています。同じカゼでも、虚タイプのカゼか、実タイプのカゼかによって、治し方も変わってきます。でもあなたは虚ですか?実ですか?と聞いても、漢方の専門家でもない限り分かりません。だから一般の人でも分かりやすいように、体力虚弱とか充実してなどという表現をするように決められたんです。

ちなみに、虚実のレベルには5段階あって、漢方薬メーカー各社はこの基準を使って薬の効能・効果の欄に記載しています。

漢方薬を選ぶ時の判断基準「体力の虚実」

3.体力虚弱は汗をかく?

次にポイントなるのは、「汗が出る」という点です。

体力虚弱とは、病気に対する抵抗力などを示すと言いましたが、発汗もまさに病気に対する抵抗力と関係します。

カゼをひいて熱が出るというのは、体に侵入したウイルスを殺そうとする免疫反応。ですから、それ自体は悪いことではありません。そして体はせっかく上げた体温を逃がさないために、肌の汗腺を引き締めるのです。でも体力が無いと、この引き締める力が弱く、体熱が汗となって出ていってしまうんですね。

だからこのタイプのカゼには、まず体温を上げることが必要なんです。

4.桂枝湯の構成生薬

体を温める作用を持つのが、桂皮・大棗・生姜です。桂皮はシナモン、大棗はナツメ、生姜はショウガです。どれも普通に食べるものばかりですね。まさに薬食同源!

しかし温めてばかりでは、逆に体力を消耗してしまいます。そこで適度に体温を下げる芍薬と、生薬のパワーを高める甘草をプラスします。ちなみに、芍薬+甘草は、これだけで「芍薬甘草湯」という漢方薬になります。この芍薬甘草湯は筋肉や関節の痛みを取ってくれる働きがあるのです。カゼの初期にぴったりなのはこのためですね。

西洋薬は、温める・熱を冷ますといった作用が強い反面、体に強い負担を伴うことも少なくありません。一方で漢方薬には、体を温める作用の薬でも、冷やす生薬が入っていたりと、体にかかる負担を軽減する処置がされているのです。漢方薬は副作用が少ない、と言われるもの、こういった考えがあるからなんですね。まさに2000年にわたる経験がなせる業です!

まとめ

今回は、漢方薬の基本とも言うべき桂枝湯について解説してみましたが、いかがだったでしょうか。

漢方薬と言えば葛根湯くらいしか知らなかた!という方も、もし今後カゼをひくことがあったら、桂枝湯も試してみてくださいね。

次回はまた別のカゼ薬を紹介しようと思いますので、ぜひそちらもご覧ください。

最後までお読み頂きありがとうございました。

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